焚き火イベント ~島Fanローカルプロジェクト~

目次

はじめに

前回の記事(「ローカルプロジェクトとは?」)にて関係人口(島Fan)が具体的かつ深く地域と関わる方法としてローカルプロジェクトに参画することをおすすめさせていただきました。
しかし、実際のローカルプロジェクトの事例を紹介しないことには、なかなかその意義がつかめないのではないでしょうか?
そこで本記事執筆者の永代(運営スタッフ)が実際に携わった地域活性型イベント(ローカルプロジェクトの事例)を通して、解説してまいります。

ながよ

焚き火イベント(ローカルプロジェクト)の可能性について考察します。

焚き火イベント概要

島原半島にある風光明媚なロケーションが売りである山の上カフェGarden。敷地内にアウトドアやイベントが開催できそうな森スペースがありますが、現在まで有効に活用したことがありませんでした。ファイヤーピット(焚き火スペース)を設置したことを機に、豊かな自然(森スペース)を活かした焚き火イベントを開催することになりました。

(焚き火イベントの主催は「社会福祉法人 悠久会」まちづくり事業も積極的に行う社会福祉法人です。下記リンクから悠久会視点のイベントレポート記事を読むこともできます。)

(※クリックすると社会福祉法人悠久会のブログ記事に移動します。)

ローカルコンテンツ創出 ~焚き火の持つ魅力とコンテンツとしての可能性~

今回は初の焚き火イベントであったこともあり、タキビストのBo-taさんに参画してもらい、運営メンバーとともに企画を考えていきました。

<焚き火の持つ魅力・効果>
暖を取るだけではなく、「1/fゆらぎ」によるリラックス効果等があります。リラックス環境の中でいつもと違う会話が生まれやすい等のコミュニケーション促進効果もあるのではないでしょうか。

焚き火の持つ魅力を最大限に活かすべく、野外音楽ライブ、アウトドアメシの提供等のコンテンツの提供及び非日常空間を演出する会場の雰囲気作りに留意しつつ企画を行いました。自然豊かな森スペースで焚き火を囲んでの体験。これらは都市部ではなかなか気軽に味わうことができないローカル(地方)ならではのコンテンツではないかと思います。

タキビストとは?

特に定義はありませんが、Bo-taさんは焚き火の魅力を伝える「焚き火コーディネーター」として焚き火イベントや様々なイベントに出店し、焚き火コンテンツを提供しているとのことです。
参考リンク:総合焚火業TAKIBIBA[R]

ローカルビジネス創出 ~アウトドアコンテンツ~

そもそもイベントで地域を活性化するにはどうすればいいのでしょうか?その開催目的や手法によって目指すもの(効果)は異なるかと思いますが、イベントがもたらす効果として下記のものがあげられます。

イベントの目的と効果

<イベントの目的・効果>
・人を集める(賑わいを生む)
・まち及びイベント(イベント実施団体)の認知度を高める
・まち及びイベント(イベント実施団体)のファンを増やす。(ブランディング)
・イベント参加者の交流を促進する、まちの住民が楽しむ場を提供すること
・地域活性化
・地域経済の活性化

イベント成功の定義も開催目的により異なります。「多数の集客を得れば成功なのか?認知度が向上すれば成功なのか?ファンを獲得すれば成功なのか?地元経済が活性化すれば成功なのか?」
何を成功と定義するかは、そのイベントを主催する団体の存在意義だったり、イベント企画時に設定する目的次第です。

本プロジェクトの目的としては、関係人口(島Fan)の創出のために「地域のファンを作る(島原半島を好きになってもらう)」を最重要かつ基本テーマとして設定しています。

まちづくりで必要なのは一過性の大きなイベントの開催よりも、小さい活動でもいいので継続的に取り組み続ける「持続可能性」です。大きなイベントを行った際はレガシー(社会遺産)を残すことを意識し、ハード面の再活用やイベントを通じて得た学びや、生まれた文化で新たな価値の創出や新たな活動を生むことで一過性のものから継続的な取り組みに発展することでしょう。

ながよ

まちづくり
「大きな一尺玉の打ち上げ花火」よりも「線香花火のような小さい花火でも細く長く継続すること」が大事であると思います。

イベント運営組織と継続性

また人的資源においてはイベント運営組織の組織化も必要であり、主となる運営スタッフやサポートメンバー、ボランティアスタッフの確保も必要です。まちづくりやイベントにおいては、大多数の人が仕事を持ちながら関わることが多いため、持続可能な組織が構築できていないと、熱意のあるリーダーが仕事で忙しくなったりしてイベントにコミット(積極的関与)ができなくなった時点で終結を迎えてしまいます。

地域活性イベントのメリットとコンテンツ開発の視点 ~持続可能性とマネタイズ~

地域活性化のためには地域経済が豊かになることも必要であり、ビジネス視点やマネタイズ等も考慮するべきでしょう。マネタイズの視点を全く考慮しないと、持続不能な状態に陥ってしまいます。イベントを開催するにも、お金がかかりますし、近年の経済状況では行政の補助金等もあてにはできません。

ボランティアや熱意で支えることも素晴らしいのですが、関与する人にも何らかのメリット、すなわちローカルビジネスの創出の機会、事業(商売)のヒント、出店による収益確保、学びの機会、地域活性化に取り組む仲間作り等のメリットも用意することでボランティアスタッフ以外の多くのプレーヤーの参画も期待できます。(※そのイベントに参画することが「楽しい」「面白い」も十分なメリットだと思います。)

「地方独自のローカルコンテンツを磨き上げ、ローカルビジネスを創出し、ローカルならではの良質な体験を提供することにより地域経済活性化も同時に実現する。」
まちづくりの1つの視点として、地域の抱える様々な課題解決を目指す取り組みを行うことが重要です。

例えば、今回の焚き火イベントではアウトドア料理の開発も、ローカルビジネスの創出のコンテンツを目的としています。焚き火で焼き上げる「まきまきパン」そして、定番ではありますが「焼きマシュマロ」等はただの食事ではなく、アウトドア体験も同時に行えるコンテンツです。(食べ物+アウトドア体験という付加価値)
イベントの場=商売・ローカルコンテンツの開発、「実験の場」ともなり得ます。

巻き巻きパン
焚き火であぶる「巻き巻きパン」
ファイヤーピットと巻き巻きパン
焼きマシュマロ
焼きマシュマロ
焼き釜ピザ
レンガでのピザ窯
肉巻きおにぎり
肉巻きおにぎり
スウェーデントーチ
スウェーデントーチ(Hammock camp tools)

(※スウェーデントーチを販売する「Hammock camp tools」さんのサイトは下記リンクから閲覧することができます。)

「モノ消費からコト消費」へと言われる時代において、森スペースやアウトドア環境で体験できるコンテンツを創出することは1つのビジネスの機会になるかもしれません。リモートワーク等でどこでも働ける時代において、屋外・アウトドア環境の中でのワーケション等も考えられるローカルコンテンツの1つではないでしょうか。

リモートワーク等でモバイル環境さえ整えば、どこでも仕事が可能な時代。
「キャンプ×ワーケーション」や「森ワーク」等の言葉も。

森ワーク
森ワーク(イメージ図)

地域の魅力発信 ~ローカルを編集するという編集力~

ローカルでは様々な魅力あるロケーションやコンテンツがあるものの、情報発信をうまくできているという地域は少数派なのではないでしょうか。(地域のファン作りのためには情報発信が重要です。)
インフルエンサー等は都市部に多いため、地域には高クオリティの情報発信をできる人が少なく感じます。特に動画系コンテンツ(YouTube・ショートムービー)等の投稿数やクオリティ等に課題を感じますし、発信する準備段階、企画力や魅力あるコンテンツ(素材)を取捨選択し編集する、ローカルを編集する力を持ったプレーヤーが必要であると感じます。
(企画力や編集力、コンテンツ作成が得意な方が関係人口や運営スタッフとして関わってくれるとありがたいです。)

ながよ

私自身も島原半島の魅力を伝えるべく動画を制作しておりますが、再生回数も少なく、1本の動画制作に時間も手間もかかるため動画本数も少ないですね・・(※動画は下記リンクより視聴できます)

ローカルインターンシップ ~地域の課題を解決する力を身につける~

前回の記事で解説したようにリカレント教育の重要なテーマとして「地域活性化」が示されています。人生100年時代と言われる現代で、社会人として新たな学びを得るために上記<2.ローカルコンテンツ創出 3.ローカルビジネス創出 4.地域の魅力発信等>に取り組むことが「学び直し」の機会となり自己成長につながることでしょう。
今回のローカルプロジェクト(焚き火イベント)では、様々なフェーズに関わることで下記の学びを得ることが想定できます。

【ローカルプロジェクト(焚き火イベント)で学べること】
・企画力
・イベント運営力
・ローカルコンテンツ開発
・情報発信(イベント告知・SNS運用・写真撮影・動画撮影及び編集・WEB記事制作等)
・マネタイズ
・地域活性化、まちづくり

コミュニティづくり ~焚き火やアウトドアイベントを通じたコミュニティ~

まちづくりにおいては「場作り」や「コミュニティづくり」が社会課題の解決策又は主要なテーマとして掲げられることがあります。今回のローカルプロジェクトにより、どのような「場」や「コミュニティ」が生まれたか考察いたします。

社会的孤立とコミュニティづくり

近年の社会課題として、人との繋がりの希薄化を要因とする社会的孤立の増加があげられます。多様なコミュニティ作り(場作り)を行うことで、新たな人とのつながりや絆の再構築のきっかけとなるかもしれません。今回のプロジェクトのみで社会的孤立を防げるわけではありませんが、様々な場を作ることでつながりを創出できる可能性があります。

コミュニティが生み出す新たな文化とつながり

今回のプロジェクトは「焚き火やアウトドア」を主としたイベントでした。特色のあるイベントでは、その分野に興味がある人や詳しい人、積極的に関与したい人が集まることが多く、焚き火・アウトドアを通じたミニコミュニティや新たなつながりが生まれるきっかけとなりました。

新しいコミュニティやつながりにおける、特定分野に絞ったコミュニケーションが活発化することで新しい文化が生まれたり、次回の取り組みのヒントにつながる等、次回のローカルプロジェクトが生まれる機会となるかもしれません。

まとめ ~ローカルプロジェクトを展開することによる地域活性化の可能性~

本ローカルプロジェクトでは、山の上カフェGardenの十分に活用されていない森スペースの活用を検討するという課題。そして、島原で今までに開催事例が少ない地域活性化につながり、新たな価値・文化を創出するアウトドアイベントの開催を目的として企画されました。

島原市の中心部から今回のイベント会場には車で5分程度でアクセスができます。市街地と豊かな自然が隣接している好立地であり、その「場所」が持つポテンシャル(可能性)を感じることができました。

今回のプロジェクトは自然を活かしたコンテンツやアクティビティの創出が中心でしたが、まだまだ島原半島には掘り起こされていないコンテンツのタネが眠っていると思いますので、今後も色々なローカルプロジェクトを企画することが可能でしょう。今後は関係人口(島Fan)の皆様を巻き込みながら、面白いコンテンツづくりができればと思っています。

【地域活性化のポイント】
「ない」ことを嘆くのではなく、地方にある豊かなコンテンツを活かし、面白いことを「つくる」発想で。
・単なる「消費者」ではなく、「コンテンツの創造者」になること。それがローカルを楽しみ、盛り上げるポイントとなるのではないでしょうか。

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